〒134-0088 東京都江戸川区西葛西7-12-7 森山脳神経センター病院 /〒134-0081 東京都江戸川区北葛西4-3-1 森山記念病院
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By admin • 7月 4, 2019 • 先端巨大症の術後にみられる脱毛 山田正三 はコメントを受け付けていません
一方きちんと治療を行い、腫瘍から過剰に分泌されていた成長ホルモン(以下GH)を正常に戻すと、以降の平均寿命が一般人と変わらなくなること、等が長年の疫学的調査で明らかとなっています。また治療を行うと、頭痛がなくなる、発汗過多がなくなる、関節痛がよくなる、糖尿病が改善するなど多く改善を患者さんは自覚され、大いに感謝されます。しかし一つだけ困ったことが術後に生じます。それが脱毛です。
GHは増毛、育毛作用があるので先端巨大症の患者さんは剛毛で髪が多いくらいふさふさしている方が多いのが一般的です。ただし治療を行い、GHが正常化するとも、元の頭髪の状態に戻るのではなく、顕著な脱毛となることがよくあります。私は以前からこのことに気づき、色々調べて来ました。まず患者さんにこの件でアンケート調査をおこないました。
結果、術後2/3の方が、なんからの程度に脱毛を自覚していたことが判明しました。更にそのうちの半数の方はかなりひどい脱毛であったと回答されていました。
またその後の回復については1年後にはほとんど問題なく回復したという方が1/3、それなりに多少気になるという方が1/3、とても十分な回復とは言えない、とても気になるという方が1/3という結果でした。
これら脱毛を訴えられる方は不思議なことにほぼ女性で、更に術後腫瘍が全摘されGHが正常化した方、そして術前の成長ホルモンやIGF-1がとても高かった方などに優位に高率に見られました。
また不思議なことにこの術後の脱毛が問題になるのはどうもアジア人に特徴的な様で、山田正三がアメリカの一流国際誌に投稿した際、三人の批評家全員が、自分たちは長年臨床に携わっているが、先端巨大症の術後に脱毛が起こることなど経験したことがないといって、結局この論文は採用されませんでした。このことを韓国の友人であるSun Ho Kim 教授(延世大学脳神経外科)に話したところ、辛辣な彼は、当然の事、かれらはきちんと治せないのだから脱毛なんか起こらないのだよと真顔で言っていたのが印象的でした。話がすこし外れましたが、確かに黒髪のアジア人で目立つのかもしれません。Kim教授も先端巨大症の手術では術前、女性の患者さんには全員このこと(術後の脱毛)を必ずお話ししているとのことでした。
さてその回復はまちまちですが、私の印象では色々と育毛剤を使用した方のほうが回復は良い様に思います。
余談
1)結局私の論文は最終的に欧州の内分泌雑誌に採用されました
Yamada S, et al. Scalp hair loss after transsphenoidal adenomectomy in patients with acromegaly. Clinical Endocrinology (2013) 79;386–393.
2)投稿された女性の方が使用された育毛剤が特にいいかどうかは分かりませんが、いずれにせよ育毛剤を使用した方が結果的にはいい様です。
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